占い
しかも占いの目的や要請者の社会的背景を決断の材料に加えることも多く、たとえば邪術や妖術にかかわる占いの場合、占い師は社会内の色々な人間係りを考慮に入れる。
鳥は天と地の間を自由に飛び回れることから、天と地の媒介者、神や精霊の意志を人間に伝えるものとされる。
しかし、しばしば占い師自身の解釈の余地がかなり残されており、それが占い師に悪用されることもある。
このほか、異常な動植物（例を挙げると白変種）の出現も占いの対象となり、また動物の内臓（とくに肝臓）を用いる占いが痛むようにからあり、例を挙げるとバビロニアでは神に捧(ささ)げたヒツジの肝臓で神意を占った。
占いに用いられる事物や現象は、〔1〕人間に関するもの、〔2〕自然物や自然現象、〔3〕占い用にくふう・考案された道具や技術、に大別可能な。
占いは個人的、私的な目的で行われる時と、社会的、公的な目的で行われる場合がある。
これらは主としてそのもち味をもつ個人の運命にかかわる占いであるが、双生児、身体障害児の出生はちょくちょく霊的影響が関与しているとみなされ、本人だけでなく共同体概要の運命の予兆としてとらえられる。
とくに特定の鳥の出現や行動がしばしば占いの対象になる。
鳥類や獣の行動、鳴き声、形状によって占う。
〔1〕人間に関するもの(1)体つき、顔、頭、目、額、手、足、爪(つめ)、ほくろ、しわ、指紋、手相、血液型など人間の肉体的特徴によって占う。
(2)動物、植物を用いる占い。
その一つは、くしゃみ、げっぷ、しゃっくりなどの生理的動作で、とくにくしゃみは多くの社会で凶兆とされる。
世界の諸民族の占いは、きわめて多くの形態をもつ。
この場合、夢のなかに現れた事物、色、方位、方向などがその文化のワールドワイド観や象徴体系に基づいて解釈される。
〔2〕自然物や自然現象(1)日食、月食、流星、新星や異様な星の出現などの天文現象、風、雲、雷、雪などの気象、地震その他の天変地異によって占う。
例を挙げると、ボルネオ島のイバン人は、鳥が人の前を右から左へ横切るのは吉、逆は凶としたり、インドのプルム人は、娘の命名式のケース殺すニワトリの右足が左足の上にあると吉兆とする、あるいはメキシコのマヤ人の間では、病治療儀礼の事例犠牲(いけにえ)のニワトリが首を東に向けて死ぬと病気が治るとする、などの例が示すように、多くの場合、右、上、東などは吉兆を示すとされ、左、下、西などは凶兆とみなされる。
ただしその本質が、ある事物や現象の出現、状態などを、その経験的属性とは別のなんらかの情報を与える「しるし」と考慮し、そのしるしを解読したり解釈することによって、過去、現時点で、未来の隠された事実、吉凶などを知る事にあることは共通している。
また占いの技術を習得している者、占い師は、他の人々から懸念られるだけでなく、社会的権威、地位は高く、ときには王自身が天や神の意志を占う占い師を兼ねる。
フクロウが不吉な鳥とされる所は多く、例を挙げるとアフリカの諸部族ではしばしば妖術(ようじゅつ)師の使い魔とされている。
例をあげれば、ボルネオ島西部のサラワクの民族集団イバンでは7種の鳥による鳥占いがある。
神霊や精霊に憑依(ひょうい)されて忘我陶酔ステータスになったシャーマンや霊媒の言動による占いも広く行われている。
加えて、ある種の病、たとえば皮膚に異常をおこす病や精神病が占いの対象になる事も多々ある。
これらの鳥は最高神の娘婿とされ、神の意志を伝える使者であり、鳥の鳴き声、飛び方、色、形などによって占う。
〔3〕占い用にくふう・考案された道具や技術(1)日本のこっくりさん式の無意識の筋肉運動を利用した占い、偶然に意味をもたせようとするくじ、作卦(さくけ)、トランプ占いなどがある。
(2)人間の統御できない、発作的、無意識の行動によって占う。
習慣的動作（癖(くせ)、筆跡など）や、見聞した他人の動作によって占う場合もある。
(3)そのほか、出生の年、月日、時、名前による占い、家相や墓相占いなどがある。
夢占いも世の中に広く分布している。
占いは非科学的とみなされがちだが、しるしの解釈はでたらめにその場その場で行われるのではなく、そこには一貫した論理があり、一つの体系を形成している。
(2)熱湯（日本の盟神探湯(くかたち)など）や毒物を用いる占い。
アフリカのアザンデ、レレなどの民族集団では摩擦台板とよばれる占いの道具が使われる。
占い師はそのような世界観に基づいてしるしの解釈を行うのである。
この事例とくに異常性が占いの対象となる。
つまり、広い解釈で占いに用いられるしるしはシンボルとしてとらえられており、占いは人間のシンボル操作活動の一つといえる。
たとえばアザンデ人はニワトリに毒を飲ませて占う。
後者の場合、とくに古代社会や未開社会では、占いは国家や共同体の統合にとって非常に肝心なものとなり、ちょくちょく公的決まりに組み込まれている。
占いはたいてい二元論的世の中観（三元論、四元論、五元論などもある）に密接にかかわっている。
しかしこれらは、神、祖霊、精霊などに問うという形の占いであり、託宣、予言ともいえる。